転職活動は、自分の叶えたいことを達成するために行うもの。
とはいえ、仕事のことを知らなければ、自分のやりたいこととそもそもマッチしているかどうかは分かりません。
そこで、事前準備に欠かせないものの一つに業界研究があります。
今回は林業界をテーマに「業界の全体像と仕事内容」について解説します。
林業界ってどういう仕事があるのか、正直気になっているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
林業界の業界構造について
構造としては、以下の通り。
▼役割の概要
・森林の維持管理・育成した樹木の伐採・木材資源の生産などを行う「林業作業士」
・森林所有者から立っている木を買い取り・伐採し原木市場へ卸す「林業会社」
・林業会社・森林組合から集荷された原木を製材工場へ販売する「原木市場」
・原木を加工し木材を製造する「製材工場」
林業作業士が伐採した木々が巡り巡って木材会社まで流れ、我々消費者の手元に製品として届くというわけですね。
林業界が抱える課題とは?
現状抱えている課題としては、大きく分けて5つ。
- ウッドショック
- 従業員の所得問題
- 人材育成・労働安全
- 放置林問題
- 新技術を用いた機械化・デジタル化の普及
1.ウッドショック
1980年を境に木材需要の低迷や輸入材との競合等により木材価格は急激に下落。
2021年には世界的な木材需要により輸入木材の価格が高騰。以降、2023年に価格の高騰は抑えられたものの、依然として木材の価格が高値を記録し続けています。
これにより、木材の需要に対し供給が追いついていない状態が続いているのが現状です。
ただ、なぜ森林が多い日本で、このような経済からの影響を受けるのでしょうか。
理由は、日本が海外から輸入される木材に頼り切っているからです。
日本は国土の3分の2を森林に覆われており、世界有数の森林国として名高いものの、市場の低迷を見据えて国内で在庫を抱えず、海外からの供給に頼る方針へ途中でシフトしました。
結果、国内の木材自給率は低下。世界経済に振り回されることとなりました。
実際、2024年2月に林野庁より発表された「森林・林業・木材産業の現状と課題」によると国内の木材自給率は2022年時点でわずか40.7%ほど。
林業従事者も高齢化によって年々減少しており、技術としても建材以外での利用方法が見出しきれていないことからも、今後も木材の高騰にはしばらく悩まされることが続くと予想されています。
2.従業員の所得問題
従業員の所得問題に関しても、見過ごせません。
2024年2月に林野庁より発表された「森林・林業・木材産業の現状と課題」によると、2005年時点でいた林業経営体20万も、2020年時点で約3.4万と大幅に縮小。
一方で、林業従事者の給与は40代以降頭打ちとなっており、他の産業と比べ予算的にも苦しい状況が続いています。
3.人材育成・労働安全
林業従事者に関しては、依然として人口は減り続けているものの、若年者率はおおむね上昇傾向。
一方で、技術を継承できる人間の絶対数も限られており、平均年齢も52.1歳と高齢化が進んでいるため、雇用管理の改善と労働災害防止対策が急務の課題となっています。
4.放置林問題
所有者不明・土地を手放したい方などで森林の管理が行き届いていないのも問題として挙がっています。
整備されずに放置されることで、植生が荒れて生態系が乱れたり、雨や台風時の土砂災害リスクが上昇。
そこで、対策として経営管理を「集積・集約化」することで、管理する人がまとめて土地を管理しやすいよう仕組みを整えることを目指します。
5.新技術を用いた機械化・デジタル化の普及
高齢化や労働人口の減少・さらには人力での作業を要求されるものということで、新技術を用いた機械化・デジタル化の普及も進められています。
具体的には、下刈りを「遠隔操作下刈り機械」で行ったり、資源情報の把握はドローンを飛ばして全体を俯瞰的に見ながら管理するなど。
人力だけでは実現・整備しきれなかった問題も機械の力を借りることで、スマートに解決します。
ただ技術を使いこなせる人材も不足しているので、新技術を用いた機械化・デジタル化の普及は今後も改善に向けて継続的に取り組んでいく問題となります。
林業界で働く方ってどんな人?林業関係の職種3選
では実際どういう仕事が林業界ではあるのでしょうか。今回は、林業関係の仕事を3つご紹介します。
1.植生管理士
植物生態学を用いて各地の植生修復を行う専門家のこと。
具体的には、在来植生の維持・育成や外来植物の抑制など。
生態系が壊されないよう自然環境のバランスを人工的に調整する仕事となります。
これにより、人間と野生生物双方が住みやすい環境づくりをサポートします。
2.林業技士
森林施業計画の作成や造林などの事業にかかわる計画書の作成・実行や林道の現地調査・設計・施工管理など。
管理はもちろん、どう管理していくのかといったことをまとめる仕事となります。
森林への深い知識と理解によって、自然と人間の共栄を模索していきます。
3.森林インストラクター
森林を利用する一般の方に対してのガイド役のお仕事となります。
具体的には、森の案内や森林内での野外活動の指導など。
森林を訪れた人々に対して、森林に関しての関心を持ってもらい、身近に感じてもらえるよう森林の中での立ち居振る舞いをサポートします。
おわりに
今回は「林業界に関する業界の全体像と仕事内容」について解説しました。
もし林業界に関心を持った方は、ぜひ求人へ応募してみてください。