転職活動は、自分の叶えたいことを達成するために行うもの。
とはいえ、仕事のことを知らなければ、自分のやりたいこととそもそもマッチしているかどうかは分かりません。
そこで、事前準備に欠かせないものの一つに業界研究があります。
とはいえ、自分一人で調べていては時間がかかってしまうというもの。
そこで、今回は水産養殖業界をテーマに「業界の全体像と仕事内容」について解説します。
水産養殖業界ってどういう仕事があるのか、正直気になっているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
水産養殖業界の業界構造について
構造としては、以下の通り。
▼役割の概要
・人工的に生産した水産動植物の稚魚や稚貝などを事業者へ販売する「種苗業者」
・海・河川・湖などで魚介類や海藻類を飼育・販売する「養殖業者」
・消費者へ商品を流通・販売する「販売業者」
水産養殖業界が抱える課題とは?
現状抱えている課題としては、大きく分けて3つ。
- 飼料効率の改善
- 閉鎖循環式陸上養殖の維持費削減
- 養殖業における担い手の確保
1.飼料効率の改善
近年だと、養殖コストが上がっており、中でも餌代の高騰が問題視されています。
実際、2024年1月に公表された水産庁の「養殖業成長産業化の推進」によると、養殖コストの6〜7割を餌代が占めているとのこと。
さらに現状でいえば、原料となっているものの大半が魚粉であり、7割が輸入で頼っているもののため、今のままでは利益率の低下は避けられません。
そこで、今後も養殖を続けていくのであれば、飼料の元となる原料を低価格かつ効率的に作成する必要があるというわけです。
2.閉鎖循環式陸上養殖の維持費削減
海域とは離れた場所で行われている陸上養殖の維持費についても懸念が残っています。
陸上養殖とは、人工的に作った陸上の環境下で魚介類を養殖する手法のこと。海で養殖する場合とは異なり、水質汚染や天然の魚介類からのウイルス汚染を防ぎ、環境をコントロールすることで、安定した漁獲量を実現します。
ただ一方で、飼育槽以外にも水を浄化する「ろ過槽」や殺菌装置といった生育のための環境作りの初期投資や維持し続けるための電気使用量が大きいので、コスト削減や省力化が今後の課題となっています。
3.養殖業における担い手の確保
漁業同様、人材不足の問題も拭いきれません。
実際、水産庁の「令和4年度 水産白書」の「第2章 我が国の水産業をめぐる動き」によると、漁業就業者数も2003年には23.9万人いたのに対し、2021年には12.9万人と約11万人も減少。
39歳以下の漁業就業者数は近年増加傾向になりつつも、人材不足には変わりありません。
なので、省力化・省人化のため、生産管理や餌やりの機械化・自動化など。人的リソースを削減するためのインフラも整備され始めています。
水産養殖業界で働く方ってどんな人?水産養殖業関係の職種2選
では実際どういう仕事が水産養殖業界ではあるのでしょうか。今回は、水産養殖業関係の仕事を2つご紹介します。
1.水産養殖作業員
海・川・湖などで魚介類や海藻類を養殖する仕事のこと。
具体的には、稚魚の育成・生け簀への放流・餌やり・水質や水温の測定など。
魚の養殖に必要な環境整備〜育成まで担当します。
2.養殖用飼料の研究職
養殖用飼料の研究開発・製造・品質管理などを行う仕事のこと。
具体的には、水槽や生け簀でブリやマダイなどを飼育し、自分が設計したエサで魚の成長過程を観察します。
とくに最近では魚粉の高騰もあり、飼育に必要な飼料が手に入りづらくなっているので、現在の飼料に代わる手段を探すためにも研究が進められています。
おわりに
今回は「水産養殖業界に関する業界の全体像と仕事内容」について解説しました。
もし水産養殖業界に関心を持った方は、ぜひ求人へ応募してみてください。